画:森山開次
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ラ・ボエーム メインビジュアル
画:森山開次

プッチーニ:歌劇 ラ・ボエーム

はじめにINTRODUCTION

井上道義、
“最愛“にして“最後“のオペラ
盟友・森山開次とともに描く、
若き芸術家たちの躍動

芸術の都パリ、ボヘミアンたちの愛と青春――。
「冷たい手を」、「私の名はミミ」、「私が街を歩けば」・・・
プッチーニの名旋律が全編を彩る傑作《ラ・ボエーム》!
2024年末での引退を宣言している指揮者・井上道義が、自身最後となるオペラに選んだのは“最愛のオペラ"と語る《ラ・ボエーム》の新制作。演出には、深い信頼を寄せる舞踊家・演出家の森山開次を指名。幾多のコラボレーションで次々と鮮やかなステージを生み続けてきた名コンビが、日本&海外混成による新進気鋭の歌手陣とともに、創造とイマジネーションあふれる新たな舞台を全国7都市から世界へ発信する。芸術を愛する全ての人に贈る、特別な《ラ・ボエーム》が2024年秋、幕を開ける。

【共同制作オペラシリーズとは】

全国共同制作オペラとは、全国の劇場・音楽堂、芸術団体等が連携し、単館では成しえない、独創的かつ高いレベルのオペラを新演出で制作するプロジェクト。2009年度から開始し、近年では野田秀樹演出のモーツァルト『フィガロの結婚~庭師は見た!~』(2015年度/全国10都市13公演、2020年度/3都市3公演)、森山開次演出の『ドン・ジョヴァンニ』(2018年度/3都市4公演)、野村萬斎演出の『こうもり』(2023年度/3都市3公演)など実績を積んでいる。

【共同制作】

公益財団法人 東京都歴史文化財団 東京芸術劇場/公益財団法人 名取市文化振興財団/ロームシアター京都(公益財団法人 京都市音楽芸術文化振興財団)/兵庫県立芸術文化センター/公益財団法人 熊本県立劇場/公益財団法人 金沢芸術創造財団/ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市文化財団グループ)/公益財団法人 読売日本交響楽団/公益財団法人 仙台フィルハーモニー管弦楽団/京都市交響楽団/兵庫芸術文化センター管弦楽団/公益財団法人 九州交響楽団/オーケストラ・アンサンブル金沢(公益財団法人 石川県音楽文化振興事業団)/公益財団法人 東京交響楽団

【助成】

文化庁文化芸術振興費補助金
劇場・音楽堂等機能強化推進事業(共同制作支援事業)
独立行政法人日本芸術文化振興会

メッセージMESSAGE

© Yuriko Takagi
[指揮]-
井上道義
Michiyoshi Inoue, Conductor

【コメント】

井上は、歳をとると本来の自分でなくなるような恐怖感に襲われます。「元気な、踊るような、名誉欲のない、生きている人より楽譜の中の作曲家と語り合うことを好む、夢想家の指揮者」である道義がどこか彼方へいってしまい、「【巨匠】とおだてられ、爺臭く動きも鈍く、希望は追憶に入れ替わり、ノスタルジーの中に生きる存在」になることを嫌います。指揮者とは水先案内人であり、天才たちが書き残した作品を、現実の荒ぶる水しぶきととらえ、時空を超え、コンサートホールというノアの箱舟を山の頂に接岸させる役目だと思っています。知性と愛とユーモアを駆使するには体力が必要です。2023年1月、自分の一生の哲学?を表現した「愛の実態は何か」を描くことが出来たのが、自作のオペラ「降福からの道」でした。嬉しいことに、良い結果と高評価を得ています。しかし、現実の近くにいる人でさえ、そこに描いた真実の愛の在り方を理解しない人が居て、絶望を感じることもあります。そんないつまでも青二才な道義の青春時代の憧れだったオペラ『ラ・ボエーム』を、坐骨神経痛や弱った腎臓のことを忘れ、素晴らしい演出家と歌手ともう一度花火を上げることが出来るなんて、こんな嬉しいこと……いえいえ、こんな辛いことはありません。頑張ります。

井上道義
© Sadato Ishizuka
[演出・振付・美術・衣裳]-
森山開次
Kaiji Moriyama, Stage Director, Choreographer, Designer

【コメント】

自由に芸術を志す若者達の集い住む屋根裏部屋に、私もしばらく居候させてもらう。若き詩人の甘美な言葉に揺られて、破天荒な画家の絵の具のしぶきとなり、人の理を洞察しては、哲学者と古書の束にうずくまる。そして、陽気な音楽家と共に踊りあかす日々を送るのだ。冬のパリ、貧しさと寒さに身を震わせながらも、暗い屋根裏部屋に灯された小さな愛。真っ赤な花のごとく燃えては、春を迎える前に朽ちる絶望。プッチーニの至極の音楽にのせて、彼らの歓びと苦悩の日常の風景を鮮明に描く。私は舞踊家として芸術家たちと戯れ、心情を身体から湧き出させたい。井上道義さんの最後で最愛のオペラ『ラ・ボエーム』に、私の芸術の灯火を捧げて取り組む。時を繋いだ芸術の夢を追いかけながら。

舞踊家・演出家 森山開次

あらすじSTORY

第1幕

1830年頃のパリ。とある安アパートの屋根裏部屋を舞台に、4人の芸術家の卵たちが青春を謳歌していた。詩人のロドルフォが部屋にひとりでいると、階下に住むお針子のミミがろうそくの火を借りにやって来て…。

第2幕

今夜はクリスマスイブ。にぎわうカフェ・モミュスで、画家マルチェッロとかつて恋人だったムゼッタが再会する。盛り上がった若者たちはムゼッタのパトロンに支払いを押し付けて笑いながら店を去っていった。

第3幕

時が流れ2月、ロドルフォは結核を患っているミミを想い別れようと決意。一方のマルチェッロは浮気の多いムゼッタと口論になる。

第4幕

しばらく時が経ってもミミのことを忘れられずにいるロドルフォ。そこへ衰弱したミミを連れてムゼッタが現れる。ミミは、ロドルフォのもとで最期を迎えたいとやって来たのだった。

(オリジナルの設定に基づく)